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鬼ヶ瀬塚村
第24章 餓鬼

彼とはいい友人になれそうだ。
そう思った。
宗二さん程堅くなく、達弘さんのように我が強いわけでもない。
少し年上の兄貴のような、友人のような…そんな関係になれる気がした。
不意に僕をニコニコ見ていた一郎さんの視線がわずかに僕の背後へと移動した。
彼の表情はみるみる険しくなる。
どうしたのだろう?と僕は一郎さんの視線の先を確認する為に振り返った。
『奴奴じゃ…』
一郎さんがポツリともらした。
ちょうど僕らから右手に数百m先に例のちご坂がある。
そこから真っ直ぐと白いワゴン車がおりてくるのが見えた。
全身に鳥肌が立った。
そのワゴン車の中には死んだ人間がいるのだと思うとゾクゾクが止まらない。
ゆっくりゆっくりとワゴン車は長いちご坂を下っていく。
霊柩車を見た時の感覚に少し似ていた。
けれど、もっと異質で不気味でスポーティーなワゴン車とその事実が不釣り合いで言い表せぬ恐怖があった。
『信人ぐん…行ごう。"仕事"じゃ』
一郎さんはワゴン車を見つめながら言った。
漠然と自覚もなく淡々と僕はこの村に溶け込もうとしていたけれど、村の本質を初めて見た。
そして感じた。
僕のよく知る日本のはずなのに、ここは別世界なのだと。
下ってくるワゴン車の存在は僕にそれを教えてくれた。
そう思った。
宗二さん程堅くなく、達弘さんのように我が強いわけでもない。
少し年上の兄貴のような、友人のような…そんな関係になれる気がした。
不意に僕をニコニコ見ていた一郎さんの視線がわずかに僕の背後へと移動した。
彼の表情はみるみる険しくなる。
どうしたのだろう?と僕は一郎さんの視線の先を確認する為に振り返った。
『奴奴じゃ…』
一郎さんがポツリともらした。
ちょうど僕らから右手に数百m先に例のちご坂がある。
そこから真っ直ぐと白いワゴン車がおりてくるのが見えた。
全身に鳥肌が立った。
そのワゴン車の中には死んだ人間がいるのだと思うとゾクゾクが止まらない。
ゆっくりゆっくりとワゴン車は長いちご坂を下っていく。
霊柩車を見た時の感覚に少し似ていた。
けれど、もっと異質で不気味でスポーティーなワゴン車とその事実が不釣り合いで言い表せぬ恐怖があった。
『信人ぐん…行ごう。"仕事"じゃ』
一郎さんはワゴン車を見つめながら言った。
漠然と自覚もなく淡々と僕はこの村に溶け込もうとしていたけれど、村の本質を初めて見た。
そして感じた。
僕のよく知る日本のはずなのに、ここは別世界なのだと。
下ってくるワゴン車の存在は僕にそれを教えてくれた。

