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鬼ヶ瀬塚村
第25章 奴奴

真理子さんは手慣れた様子でワゴン車の後部座席のドアをスライドした。
ドアが停止位置でガシャンと噛み合う音を立てる。
『…よう見どげ…仕事じゃ』
吾郎さんが僕の耳元で小さく囁いた。
『…綺麗ですね。アルカリあたりで煮詰めましたか?』
真理子さんは後部座席に半身を傾けながら言う。
僕の位置からは死体は見えなかった。
けれど…毛布らしき物の裾から黄色くなった素足が二本突き出ているのが見えた。
赤いペディキュアが塗られたその足は赤や紫の奇妙な筋が大量に浮いていた。
血管だ…。
僅かにに腐乱臭が鼻をかすめ、僕は"ウッ…"と口を手で覆った。
男が僕をチラリと見た。
救いを求めている顔だった。
彼の人生は今死にかけているのだ。
『顔は…これは焼いたのですか?』
真理子さんが言う。
『はい…包丁で…顔をわからないようにして………ガスバーナーで焼いたんですが…臭いが酷くなったんで…煮詰めました…』
『…わかりました。中でお話を伺います。査定額もそこでお教えしますね』
真理子さんがまるで車の修理屋みたいな口調で言う。
彼女にとってあくまでもこれは仕事なのだ。
機械的かつ迅速にこなすだけ…世間に転がっているどんな仕事とも同じなのだ。
ドアが停止位置でガシャンと噛み合う音を立てる。
『…よう見どげ…仕事じゃ』
吾郎さんが僕の耳元で小さく囁いた。
『…綺麗ですね。アルカリあたりで煮詰めましたか?』
真理子さんは後部座席に半身を傾けながら言う。
僕の位置からは死体は見えなかった。
けれど…毛布らしき物の裾から黄色くなった素足が二本突き出ているのが見えた。
赤いペディキュアが塗られたその足は赤や紫の奇妙な筋が大量に浮いていた。
血管だ…。
僅かにに腐乱臭が鼻をかすめ、僕は"ウッ…"と口を手で覆った。
男が僕をチラリと見た。
救いを求めている顔だった。
彼の人生は今死にかけているのだ。
『顔は…これは焼いたのですか?』
真理子さんが言う。
『はい…包丁で…顔をわからないようにして………ガスバーナーで焼いたんですが…臭いが酷くなったんで…煮詰めました…』
『…わかりました。中でお話を伺います。査定額もそこでお教えしますね』
真理子さんがまるで車の修理屋みたいな口調で言う。
彼女にとってあくまでもこれは仕事なのだ。
機械的かつ迅速にこなすだけ…世間に転がっているどんな仕事とも同じなのだ。

