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鬼ヶ瀬塚村
第25章 奴奴
『私達鬼ヶ瀬塚村はね今みたいな怨恨殺人だとかしか受け付けてないのよ。たまに事故死も処理はするけどね、揉み合ってたら階段から落ちて死んだ…とか』

『どういうのを受け付けないの?』

『そうねぇ…例えば…快楽殺人かなぁ』

真理子さんは大きく欠伸をしながら答えた。

『時々いるのよ、猫や犬を殺す感覚で人間殺しちゃう奴がね。変態よ。自分の欲望の為に殺しただけ、悲しみや憎しみは一切なし。バリバリの前科持ちとか"御勤め"あがりの人間ね』

『…駄目なの?』

『うん。そんな擁護出来ない奴にうちは手助けしないのよ。ま、お隣の鎌研ぎ村はウェルカムみたいだけどね。あの村はおかしいのよ、金の為ならなんだってする連中よ。…とは言え根本的に殺人に私達は擁護はしないわ。私達が擁護するのは彼らの心の痛みよ』

『心の痛み?』

『そ、心の痛み。ノブあんた彼の話聞いて少し同情しちゃったでしょ?』

『まぁね…』

『そ、彼らの仕方なかった怒りや悲しみを回収して人生に帰るキッカケを作るだけなのよ。だから快楽殺人者や自己満足だけの偏った奴奴からは仕事を受けないわ。けど…全部同情しちゃ駄目、流されちゃ駄目』

『どうして?彼の話は凄く気の毒だった』

『そうね、確かに今彼は悲劇の主人公だわ』
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