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鬼ヶ瀬塚村
第25章 奴奴

『やり方はいっちゃんから教えて貰って?私から後で頼んでおくから』
『うん…』
真理子さんはまた大口を開けて欠伸をした。
そして手元に名前が書かれた札を寄せ、ジッと見下ろしていた。
野田敦
佐々木江利香
加害者と被害者
奴奴とだぬき
罪人と死者
『それはなんの意味があるの?』
僕は訊ねた。
『これは最後に鬼神祭で御焚き上げするのよ。鬼神様は罪に泣いた後で魂を地獄の閻魔に運ぶのよ。名前がわからなければ閻魔の判断は下せないから、鬼神様に名前を教えて差し上げる為の物よ。まあ、言っても意味のない物でしょうけどね。元々は土左衛門(死体)の帳簿作りの為に大昔からあったみたいよ』
『…そうなんだ』
『さて、戻ろうか。もう死体も箱に運ばれたでしょ』
『箱?』
『うん。解体したり分解したり処理する場所よ』
解体…分解…
再び何かが喉元に込み上げてくる。
この村にいると逆流炎になりそうだ。
『ノブ、忘れ無いでね?私達は隠蔽を助けるんでは無いの。奴奴の心を助けるのよ』
『…難しいね』
『じきにわかるわ。慣れるもの』
簡単に言ってくれるなぁ。
真理子さんは札を手に立ち上がった。
『行こう、仕事の始まりだよ。全く…突然来るなんてねぇ』
人間は突然殺されて、突然死ぬのだと僕は思った。
『うん…』
真理子さんはまた大口を開けて欠伸をした。
そして手元に名前が書かれた札を寄せ、ジッと見下ろしていた。
野田敦
佐々木江利香
加害者と被害者
奴奴とだぬき
罪人と死者
『それはなんの意味があるの?』
僕は訊ねた。
『これは最後に鬼神祭で御焚き上げするのよ。鬼神様は罪に泣いた後で魂を地獄の閻魔に運ぶのよ。名前がわからなければ閻魔の判断は下せないから、鬼神様に名前を教えて差し上げる為の物よ。まあ、言っても意味のない物でしょうけどね。元々は土左衛門(死体)の帳簿作りの為に大昔からあったみたいよ』
『…そうなんだ』
『さて、戻ろうか。もう死体も箱に運ばれたでしょ』
『箱?』
『うん。解体したり分解したり処理する場所よ』
解体…分解…
再び何かが喉元に込み上げてくる。
この村にいると逆流炎になりそうだ。
『ノブ、忘れ無いでね?私達は隠蔽を助けるんでは無いの。奴奴の心を助けるのよ』
『…難しいね』
『じきにわかるわ。慣れるもの』
簡単に言ってくれるなぁ。
真理子さんは札を手に立ち上がった。
『行こう、仕事の始まりだよ。全く…突然来るなんてねぇ』
人間は突然殺されて、突然死ぬのだと僕は思った。

