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鬼ヶ瀬塚村
第26章 箱
『信人ぐんッ!ごっぢッ!ごっぢッ!』

一郎さんが大きく頭上で手招きしている。

荒岩家には裏庭の更に奥手に立派な屋根付きガレージがあった。
車の整備場のようで、黒い油がコールタール状にあちこちに付着している。

打ちっぱなしの床には小さなネジやナットが転がっていた。

『中のシートば張り替えるんでずわ』

一郎さんは黒い合皮をバサッと地面に敷いた。

『中…見ても大丈夫ですか?』

僕が訊くと、彼は大型のナイフで合皮をつついていた。

『大丈夫だっぺよッ!だいじ、だいじッ!ただ、ぢぃど臭うっぺよ。組織液が漏れ出どっだんだば…血液ばぞごまで垂れどらんがね』

僕は恐る恐るワゴン車に近付いた。
なんだか昔飼っていた金魚の水槽のような臭いがする。

皮膚病で息絶え、水面に浮かんでいた時の臭いだ。

当然後部座席に死体はなく、何か得体の知れない物が黒く楕円状にシミを作っていた。

ハエがうろついてそれを舐める様には心底吐き気がした。

『どうだっぺ?やっば怖えぇが?ん?』

一郎さんが背後で飄々と言う。

シミを見つめていると前のめりに吸い込まれそうだった。

『…気分が悪いです』

一郎さんは僕の答えに少し唸ってから続けた。
『真理子ぢゃんがら預かり物だっぺ』

僕は振り返る。
彼は青いプラスチック性のバケツを指差した。
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