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鬼ヶ瀬塚村
第26章 箱
『そっぢ引っ張っで?』

一郎さんに顎で指され、僕は手元のシートを引っ張る。

楕円形のシミが今にも動き出しそうで不気味だ。
一郎さんはそのままナイフを縦に入れる。
楕円形のシミ部分でナイフは何度か食い込んだ。
水分が邪魔をしているのだ。
吐き気がした。

ビリビリっと一郎さんは裂け目を強引に両手で引っ張った。
シートが縦に裂かれて左右に分かれていく。

裂け目の下に更にシミを見つけた。
千葉からこの鬼ヶ瀬塚村まで運ぶのに奴奴はどれ程時間をかけたのだろうか。
時期も時期だ。腐敗が進み組織液はシートの下まで広がっていた。

『凄まじいっぺよ』

一郎さんは鼻にシワを寄せて引きちぎったシートの残骸を後方へポイと投げた。

地面に落ちたそれはベシャッと湿った音を鳴らした。不気味な音だった。

『ごりゃ中も換えねぇどな。まぁ、予想はじでだんだげんど…酷いっぺよ』

『今日中に全部終わりますかね?』

『終わらぜる。ぞれが僕らの仕事でずわ』

一郎さんは苦笑いを浮かべた。

『長引いた場合は奴奴はどうするんですか?』

『だいだいば牢屋に入れでおぐな』

『牢屋…?』

『見たでしょ?狭い小部屋でずわ。昔がらごの家にあるやつでずわ』

あの奴奴を閉じ込めた狭い空間は牢屋と言うらしい。響きがとても気持ち悪い。
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