この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
鬼ヶ瀬塚村
第26章 箱

仕事をしている音なのだと思う。
工場や溶接場から聞こえるような音だった。
どれ程下りが続くんだろう?
誰もいない僕だけの坑道を僕はレールに沿って歩いていった。
やがて青白い光が見えてきた。
突き当たりには何か見えた。
青白い蛍光灯に照らしだされたのは…エレベーターだった。
モーター電池で電力を供給しているのか機械音が耳に痛い。
ボタンはたった一つだけだった。
とても不気味に思えた。
田舎の穏やかな竹林から古い坑道に入り、行き着いた場所にはその場に不釣り合いな程現代的なエレベーターがあったのだから。
まただ、その違和感がとても恐ろしかった。
この緑豊かな鬼ヶ瀬塚村に点々と散らばる文明の数々、真新しい家屋や錆び一つない街灯、そして表面がツルツルしたアスファルトの道路。
それらは一言も喋りはしないが、ただ存在するだけで圧倒される不気味さがある。
それを更に強くした不気味さを、この目の前のエレベーターは秘めていた。
乗ってしまえばもう地上に戻れないんじゃないだろうか…そんな不安すらよぎる。
例えるなら、近代的過ぎる地獄の入り口だ。
ああ、漫画の話のようだ…僕は思った。
意をけっして僕はボタンを人差し指で押した。
何故だかわからないが"真"と表示されたそのボタンは点滅し、そして扉に出力を通す。
扉がゆっくりと開いた。
工場や溶接場から聞こえるような音だった。
どれ程下りが続くんだろう?
誰もいない僕だけの坑道を僕はレールに沿って歩いていった。
やがて青白い光が見えてきた。
突き当たりには何か見えた。
青白い蛍光灯に照らしだされたのは…エレベーターだった。
モーター電池で電力を供給しているのか機械音が耳に痛い。
ボタンはたった一つだけだった。
とても不気味に思えた。
田舎の穏やかな竹林から古い坑道に入り、行き着いた場所にはその場に不釣り合いな程現代的なエレベーターがあったのだから。
まただ、その違和感がとても恐ろしかった。
この緑豊かな鬼ヶ瀬塚村に点々と散らばる文明の数々、真新しい家屋や錆び一つない街灯、そして表面がツルツルしたアスファルトの道路。
それらは一言も喋りはしないが、ただ存在するだけで圧倒される不気味さがある。
それを更に強くした不気味さを、この目の前のエレベーターは秘めていた。
乗ってしまえばもう地上に戻れないんじゃないだろうか…そんな不安すらよぎる。
例えるなら、近代的過ぎる地獄の入り口だ。
ああ、漫画の話のようだ…僕は思った。
意をけっして僕はボタンを人差し指で押した。
何故だかわからないが"真"と表示されたそのボタンは点滅し、そして扉に出力を通す。
扉がゆっくりと開いた。

