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鬼ヶ瀬塚村
第26章 箱
汗や熱した水分や鉄や灰や水槽の臭いをめちゃくちゃに混ぜた臭いの中、僕には作業する村人全てが地獄の小鬼に見えた。

デッキブラシが擦れる音、プレス機の圧縮音、釜が煮えたぎる音。

耳から入る音の構成は初めてだ。

嗅覚、視覚、聴覚から入ってくる情報だけではなく肌から伝わる感覚までもが不快だった。

臭くて暑い。
たったそれだけなのに、その次元が高すぎて頭がどうにかなりそうだ。

単純な臭いではない。
脳がパニックする程認識が難しい臭さだ。

そして熱もだ、そこらじゅうの壁に走る配線からの熱と釜からの熱、そして日光の熱が執拗に肌を刺激する。

生まれて30年だ、そりゃ臭い物も熱い物も知っている。
けれど"臭"と"熱"を今ここで組み立てている物質の中には生まれて初めて感じた物も含まれている。
主に…死体だったが。

死体に関わっていない"臭"や"熱"はよく知っていてもここに溢れるそれらはよく知らない。

脳は未知をキャッチすると、これほどまでに過剰に反応するのだと初めて知った。

毛穴から臭いが入り込んでくるようで嫌だった。
それなのに優子は言う。

『近ぐで見ぜでやるよ』

全力で拒否したいのに、1%程の好奇心の存在に僕は驚いた。
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