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鬼ヶ瀬塚村
第26章 箱

『警察なんざよぉ、結局は数に負げぢまう組織だっぺよ。こちとら近隣の村の連中も合わぜでよ、何百っで連中でとぼけちまえばながっだ事になるんだ』
彼は宗二さんと同じように言う。
結局は群衆が"知らない"と言えば知らない事になる。
確かに奴奴1人2人がこの村を通報したとしても、この村人の数に勝てる事はないだろう。
証拠を隠し、死体を処理する多数には警察も無力だ。彼らも商売で処理を請け負っている限り、プロ中のプロなのだ。
あんなとぼけた村人を装ってはいるが、殺人隠蔽のプロ集団なのだ。
『あ、あの』
僕は話を変えようと彼に言った。
『紗江さんが和幸くんなら元気だと言ってましたよ?どこも具合は悪くないみたいです』
『…そうが』
先程までにこやかに僕の隣いた達弘さんの横顔が急に陰りだした。
不貞腐れたような険しい顔だ。
『…なぁ、せんせ』
『なんです?』
『………』
『達弘さん、どうかしたんですか?』
『いや、なんでもねぇっぺよ。おら、行くぞ。足元気ぃづげろ』
エレベーターが静かに止まり、僕と達弘さんは降りた。
また深い深い坑道を歩いていく中、達弘さんは終始無言だった。
せっかくバニーちゃんを通して親しくなりつつあったのに、僕は何か余計な事を言ったのかと少し後悔した。
彼は宗二さんと同じように言う。
結局は群衆が"知らない"と言えば知らない事になる。
確かに奴奴1人2人がこの村を通報したとしても、この村人の数に勝てる事はないだろう。
証拠を隠し、死体を処理する多数には警察も無力だ。彼らも商売で処理を請け負っている限り、プロ中のプロなのだ。
あんなとぼけた村人を装ってはいるが、殺人隠蔽のプロ集団なのだ。
『あ、あの』
僕は話を変えようと彼に言った。
『紗江さんが和幸くんなら元気だと言ってましたよ?どこも具合は悪くないみたいです』
『…そうが』
先程までにこやかに僕の隣いた達弘さんの横顔が急に陰りだした。
不貞腐れたような険しい顔だ。
『…なぁ、せんせ』
『なんです?』
『………』
『達弘さん、どうかしたんですか?』
『いや、なんでもねぇっぺよ。おら、行くぞ。足元気ぃづげろ』
エレベーターが静かに止まり、僕と達弘さんは降りた。
また深い深い坑道を歩いていく中、達弘さんは終始無言だった。
せっかくバニーちゃんを通して親しくなりつつあったのに、僕は何か余計な事を言ったのかと少し後悔した。

