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鬼ヶ瀬塚村
第27章 和幸
『真理子さん教えてよ』

『嫌よ、子供じゃないんだから自分1人で誰かに教えて貰いなさいよ?達弘にでも言っておくわ』

『やっぱり…入念に掃除するの?』

『当然よ、もし何かあって警察が来ても普通の炭鉱を装うのよ』

淡々と話す真理子さんの腕の中で和幸は眠そうに欠伸をしていた。
本当に可愛いなぁと思い、彼を見ていると真理子さんも和幸を見下ろした。

『う~ん…』

真理子さんが唸る。

『どうしたの?』

『いや…気のせいだとは思うんだけど…』

『なんだよ?ハッキリし無いな』

『なんでもない…それにしても赤ちゃんって可愛いわねぇッ!いくら見てても飽き無いわッ!』

『………』

『私もあか…』

『真理子さんまだ気にしてるの?』

彼女が言い終わる前に僕は呟いた。
真理子さんは少し怪訝そうな顔をしてからニッコリ微笑んだ。

『老けたね、ノブ』

『なんだよ?』

真理子さんはフフフッと笑って続けた。

『もう大人なんだね、昔はちっともその話題出さなかったのに』

『そりゃあ…そうだよ』

僕は膝の上の手を拳に変えた。
ギュウギュウと責任という圧力が僕を押さえつけてくる。

『そうね、正直まだ気にしてるわ。だって生まれて初めて短い期間ではあれど母親だったんですもの』
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