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鬼ヶ瀬塚村
第27章 和幸

『言葉が…出ないよ』
僕は消え入りそうなか細い声で答えた。
中絶の痛みや恐怖や不安を身をもって体験したのは彼女なのだから。
彼女が診察台で"処置"を受けている時、僕は心配すらせず漫画を描いていたのだ。
『でもきっとノブが望まない子なら幸せにはしてあげれなかったと思うの。ノブが父親になりたいって思うなら…また作ればいいよ』
真理子さんは微笑んで、再び和幸を見下ろした。
クルクルうねる茶色い癖毛が海外の壁画の天使のようで本当に可愛かった。
僕もいつかは………。
『真理子さんが構わないなら…いつでも…』
『あら、気が早いわねッ!ノブのスケベッ!』
『なんだよッ?』
『ふふッじゃあ牡蠣をバケツ一杯食べて精力つけてもらわなきゃねッ!』
久しぶりに僕と真理子さんは気持ち良く笑い合えた。和幸という小さな存在でとても優しい気持ちになれたのだ。
子供という存在は素晴らしい、改めてそう感じた。
『ねぇ、ノブ』
『ん?』
真理子さんが急に声色のトーンを下げて言った。
『…お父さんの御咎めなんだけれど…』
『あ…』
『明日夕刻に決まったのよ』
『え…明日?』
『うん…お母さんと相談してね…早い方がお父さんも村人も安心するだろうって…』
『………』
僕は消え入りそうなか細い声で答えた。
中絶の痛みや恐怖や不安を身をもって体験したのは彼女なのだから。
彼女が診察台で"処置"を受けている時、僕は心配すらせず漫画を描いていたのだ。
『でもきっとノブが望まない子なら幸せにはしてあげれなかったと思うの。ノブが父親になりたいって思うなら…また作ればいいよ』
真理子さんは微笑んで、再び和幸を見下ろした。
クルクルうねる茶色い癖毛が海外の壁画の天使のようで本当に可愛かった。
僕もいつかは………。
『真理子さんが構わないなら…いつでも…』
『あら、気が早いわねッ!ノブのスケベッ!』
『なんだよッ?』
『ふふッじゃあ牡蠣をバケツ一杯食べて精力つけてもらわなきゃねッ!』
久しぶりに僕と真理子さんは気持ち良く笑い合えた。和幸という小さな存在でとても優しい気持ちになれたのだ。
子供という存在は素晴らしい、改めてそう感じた。
『ねぇ、ノブ』
『ん?』
真理子さんが急に声色のトーンを下げて言った。
『…お父さんの御咎めなんだけれど…』
『あ…』
『明日夕刻に決まったのよ』
『え…明日?』
『うん…お母さんと相談してね…早い方がお父さんも村人も安心するだろうって…』
『………』

