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ヒロイン三国ファンタジー
第14章 14 英雄たちの死・1
彼女の後ろで法正が小さな咳ばらいをし、玄徳に静かに彼女の事を話す。
「呉氏の夫であった劉瑁が、少し心を病んでしまいましてな。それでよく酒を飲み暴れておったのですよ」
まるで自分が悪いと言わんばかりに呉氏は涙を流し震えている。劉瑁の暴力により、呉氏はすっかり生気をなくし、男を見れば小さくなり身体を固くし、身を守ろうとする癖がついていた。
さすがに玄徳も彼女の行く末を案じ、法正が勧める通り婚姻を考え始める。
「法正。少し二人にしてもらいたい」
「はっ!」
法正は手ごたえありとみてさっと立ち去った。
玄徳は震える呉氏の隣に座り、手を取った。
「呉氏よ。もう恐れないでください。私は女なのです。男のような仕打ちをすることはありますまい」
「玄徳様は女人なのですか」
顔をあげ少しほっとしたような表情を見せる。目も鼻も口も小ぶりで幼い童女のような顔に何カ所かうっすら青いあざがあった。
「幼い息子の阿斗に母親が必要なのです。いかがでしょうか」
「わたくしのようなもので良かったらお仕えさせてください」
呉氏が阿斗の養育をすれば、彼が自分の後を継いだ時、女人を大切にするであろうと玄徳は考えた。
玄徳が蜀皇帝になったとき、この最後の夫人は皇后となる。
「呉氏の夫であった劉瑁が、少し心を病んでしまいましてな。それでよく酒を飲み暴れておったのですよ」
まるで自分が悪いと言わんばかりに呉氏は涙を流し震えている。劉瑁の暴力により、呉氏はすっかり生気をなくし、男を見れば小さくなり身体を固くし、身を守ろうとする癖がついていた。
さすがに玄徳も彼女の行く末を案じ、法正が勧める通り婚姻を考え始める。
「法正。少し二人にしてもらいたい」
「はっ!」
法正は手ごたえありとみてさっと立ち去った。
玄徳は震える呉氏の隣に座り、手を取った。
「呉氏よ。もう恐れないでください。私は女なのです。男のような仕打ちをすることはありますまい」
「玄徳様は女人なのですか」
顔をあげ少しほっとしたような表情を見せる。目も鼻も口も小ぶりで幼い童女のような顔に何カ所かうっすら青いあざがあった。
「幼い息子の阿斗に母親が必要なのです。いかがでしょうか」
「わたくしのようなもので良かったらお仕えさせてください」
呉氏が阿斗の養育をすれば、彼が自分の後を継いだ時、女人を大切にするであろうと玄徳は考えた。
玄徳が蜀皇帝になったとき、この最後の夫人は皇后となる。