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ヒロイン三国ファンタジー
第15章 15 英雄たちの死・2
 曹操孟徳が洛陽北部都尉となり城門を侵すものを厳しく罰し、処罰を加える姿は少年であった司馬懿にとって凛々しく、恐れ多く神々しいばかりであった。
大きな男たちの中で小さな身体である曹操に、司馬懿は不思議な抗いがたい魅力を感じ、くぎ付けになり毎日勉学の合間に見に行った。
しばしば抜け出していたせいで父の司馬防に咎められ、曹操を見に行っていたと理由を話すと、彼は珍しく笑んで「あのお方がお前の主となるのだ」と告げた。そして女人であることもその時知る。

 それからというものの曹操のために勉学に励み、仕えることを夢に見てきた。もっと早い段階で朝廷へ召されることがあったが、その時は郭嘉、程昱、荀彧たちが軍師として幅を利かせていたので自分の入る余地がないだろうと退いた。

 やっと自分の時代がくる確実な時を選んで、最も曹操の側に居られるようにと司馬懿は虎視眈々と時期を狙っていた。
 赤壁の惨敗で嘆き悲しむ群臣の中で、司馬懿は飄々とした様子で酒を飲む。勿論、曹操の目を引くためである。
狙い通り彼女は自分を投獄し、訪ねてきた。

「お前は司馬防の息子か」
「はい。司馬懿にございます」

「父上にそっくりじゃな。なぜ早々に出仕せなんだ」
「あなた様が大敗なされた時にお役に立ちたいと思っておりました」

「ふんっ、傲慢なやつめ。やはり建公殿には似ておらぬわっ」

 そう言いながらも司馬懿の才を欲する曹操は、粗末な藁の中で身体を開く。

「私を抱けるか?」
「勿論です」

 彼女を抱きたくても抱けるものはそう多くなく、抱ける機会があろうとも並の男は委縮して抱けない。
才があり、彼女を抱ける者こそが彼女の希う星なのだ。
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