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ヒロイン三国ファンタジー
第15章 15 英雄たちの死・2
 曹操の葬儀に献帝は重い身体を引きづり弔問する。
臣下である曹操に対して献帝は主である姿勢を悲しみのあまり示すことが出来ないでいた。臣下に対して額づき拝礼する。その様子に群臣たちはもはや漢王室はこれまでかと囁く。


 ぼんやりと虚ろな献帝を目の当たりにし、曹節は覚悟を決め、父・曹操の跡を継ぎ、魏王となった兄・曹丕に会いに行った。

「おお、これは皇后。どういたしました?」

 曹丕は父・曹操の言いつけを良く守り、妹である曹節に対しても臣下の礼を取る。

「兄上、相談があるのです」
「相談?」

 こくりと頷き、人払いを促すと、曹丕はさっと手を上げ使用人たちを下げた。

「兄上、どうか献帝を、皇帝を廃してほしいのです」
「! ば、馬鹿なことを申すな! いったい何を言い出すのだ」

「もう陛下は漢王室を維持することは無理です」
「お前は何を見てきたのだ。父上と私が群臣たちの天下簒奪の疑いを、どれだけ苦労して否定してきたか知らぬわけではあるまい!」

「ええ、勿論です。しかし父王が亡き今、陛下には陛下たる政は無理なのです」

 慕ってきた曹操の死後、献帝は狂ったように「孟徳の元へ行く」と何度も死のうとしていた。

「なんという……」
「このままでは簒奪者どころの汚名では済まされません。陛下を亡き者にしたと末代までの恥じとなりましょう」

「だからといって皇帝を廃したところで、陛下は死のうとなさるのであろう?」
「わたくしに良い考えがあるのです。これをご覧ください」
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