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ヒロイン三国ファンタジー
第23章 23 三国を巡って
高くそびえ立つ銅雀台を眺め、尚香は曹操の権力の偉大さを知る。呉も文化では引けを取らないと思っていたが、高さは言うまでもなく細部までの作りのきめ細やかさ、彫刻の見事さには舌を巻く。
尚香自身、曹操と直接会ったことがなく、噂しか聞いたことがない。
「乱世の奸雄か……。確かにこの高さを見るとそう思わずにはいられないな」
威圧的で理想が高く厳しい人物を想像する。漢王朝の最後の皇帝を思うままに操り、やがて魏王朝の武帝と呼ばれる曹操。
この銅雀台のあるギョウは活気に満ち、民は皆、汗を流して働き、せわしない。
『唯才』を掲げた曹操のおかげで人々は己の為すべきことを為し追及しているのであろう。罪人でも才があれば用いると言い放った曹操に感心はするが、心から賛同は出来なかった。
そこで仁義の人、劉備の事を思い比較するが結論を出すことは難しい。劉備、曹操は心と頭のように交われぬ。更にどちらかを選ぶことも出来ない。それぞれの民はそれぞれの主を選び満足しているようで、曹操を噂通りの奸雄と呼ぶことだけは出来ないと思えた。
ふと、思い立つ。
「私も玄徳さまのように挙兵していたらどうであったろうか」
兄の孫権は呂壱事件と二宮事件によって消せない汚点を残す。蜀も、魏もそれぞれの君主の特色が良く出されている。呉は恵まれた豊かな土地故、志たるものが育っておらず、今では主、臣、民は分裂している。
尚香は自問自答し、己が主であればどのような政を行うであろうかと考える。が、すぐにやめた。
「もう時すでに遅しだな」
民の事、政治、世の中の事を配慮し始めたのは、玄徳と離れて呉に帰ってからであった。明日は魏の都、洛陽に向かう予定である。
蜀の成都から漢中にて馬を得て、長安に寄り、洛陽を後回しにして、銅雀台を見るために先にギョウへやってきた。
宿に泊まり、馬の世話を下人に任せ、尚香は早々に床についた。夢の中ででも陸遜に会えるようにと願いながら。
尚香自身、曹操と直接会ったことがなく、噂しか聞いたことがない。
「乱世の奸雄か……。確かにこの高さを見るとそう思わずにはいられないな」
威圧的で理想が高く厳しい人物を想像する。漢王朝の最後の皇帝を思うままに操り、やがて魏王朝の武帝と呼ばれる曹操。
この銅雀台のあるギョウは活気に満ち、民は皆、汗を流して働き、せわしない。
『唯才』を掲げた曹操のおかげで人々は己の為すべきことを為し追及しているのであろう。罪人でも才があれば用いると言い放った曹操に感心はするが、心から賛同は出来なかった。
そこで仁義の人、劉備の事を思い比較するが結論を出すことは難しい。劉備、曹操は心と頭のように交われぬ。更にどちらかを選ぶことも出来ない。それぞれの民はそれぞれの主を選び満足しているようで、曹操を噂通りの奸雄と呼ぶことだけは出来ないと思えた。
ふと、思い立つ。
「私も玄徳さまのように挙兵していたらどうであったろうか」
兄の孫権は呂壱事件と二宮事件によって消せない汚点を残す。蜀も、魏もそれぞれの君主の特色が良く出されている。呉は恵まれた豊かな土地故、志たるものが育っておらず、今では主、臣、民は分裂している。
尚香は自問自答し、己が主であればどのような政を行うであろうかと考える。が、すぐにやめた。
「もう時すでに遅しだな」
民の事、政治、世の中の事を配慮し始めたのは、玄徳と離れて呉に帰ってからであった。明日は魏の都、洛陽に向かう予定である。
蜀の成都から漢中にて馬を得て、長安に寄り、洛陽を後回しにして、銅雀台を見るために先にギョウへやってきた。
宿に泊まり、馬の世話を下人に任せ、尚香は早々に床についた。夢の中ででも陸遜に会えるようにと願いながら。