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ヒロイン三国ファンタジー
第23章 23 三国を巡って
 政変をおこした後の司馬懿はまるで腑抜けたようになり、膝の上に柏夫人を抱き、尚香がいるのも構わず、胸元と股ぐらをまさぐっている。

「殿。だめですよ。楊さんがみてますわ」
「んん? 楊? かまうもんか。こわいこわい春華でなければ誰が見ていようが」
「まあっ! 亡くなった奥様の事はおっしゃってはなりませんわ。師と昭に聞かれでもしたら……」

「あの奥様、ご用事がなければ私はこれで……」
「ああ、待って。あなたには髪を結ってもらいたいのよ」
「はあ、そうですか」

「んん? 髪? 髪型が何か違うのか?」
「ええ、殿。楊さんはとてもお上手でしかもこのあたりにはちょっとない、南国風なのですわ」
「ほうっ、南国風とな」
「いえ、たいしたものでは」

「髪よりもほれ、わしと愉しもうではないか」
「ああっ、もうっ! 楊さん、4、5刻ほどあとでお願い」
「はい、失礼します」

 朝から娘、いや、孫ほどの年頃の若い夫人と睦み合う司馬懿は、洛陽で見かけた彼と同一人物とは思えなかった。もし以前の司馬懿であれば尚香の身元に気づくかもしれない。

「もう余生を楽しんでいるのだろう」

 部屋の外に尚香が出る前から司馬懿は柏夫人の肌にむしゃぶりついている。

「ああ、殿っ、そ、そこぉ」
「うーむ。いい香りだ。しかも何という美味な露であるか」

 部屋の外からでも聞こえるべちゃべちゃと舐めあげる淫音に、年甲斐もなく顔を赤らめ尚香は足早に去った。
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