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ヒロイン三国ファンタジー
第24章 24 魏の末路
「陛下。もう、投降いたしましょう。譲位なさい」
「ああ? 何を申すのか。おぬしが全て望んだことであろう!」
「そ、そういうつもりでは」
「この女狐めが! そなたを成敗してくれよう!」
曹髦は馬面を賈充軍から郭太后に向けさせる。それを見ていた賈充は慌てて、側に居た部下の成済に曹髦を追いかけさせ、郭太后を守るよう言いつける。
成済は馬を激しく鞭打ち、舞起きる砂埃の中、曹髦よりも早く郭太后の元に駆け寄り馬を降りた。
「下郎め! どけ!」
「ひっ!」
郭太后めがけて振り下ろされた剣を、成済もまた剣で受け止めるが、ここで悲劇は起きる。
馬上での均衡を崩した曹髦は、まさかの落下先が成済の剣の上であった。
「きゃあああっ!」
「あ、あ、へ、陛下!」
「う、ぐぅっ、うぅ……」
細い身体を貫いた剣は彼の心臓を押し破り、一気に暗闇へといざなった。
成済は己の所業に恐れおののき震え、二度と正常に戻ることはなかった。
成済の三族は皇帝陛下弑逆の汚名を未来永劫語り継がれることを憂い、自害して果てる。
郭太后はこの日を境に呆けたようになり、亡くなるまでの三年間、曹叡と曹髦の冕冠(べんかん)についていた合わせて48本の宝玉のスダレを肌の上で愛でた。
「ああ、お二人の陛下に愛されているかのよう……」
冷たい玉はかさつき老いた肌をころころと所在なく転がった。
「ああ? 何を申すのか。おぬしが全て望んだことであろう!」
「そ、そういうつもりでは」
「この女狐めが! そなたを成敗してくれよう!」
曹髦は馬面を賈充軍から郭太后に向けさせる。それを見ていた賈充は慌てて、側に居た部下の成済に曹髦を追いかけさせ、郭太后を守るよう言いつける。
成済は馬を激しく鞭打ち、舞起きる砂埃の中、曹髦よりも早く郭太后の元に駆け寄り馬を降りた。
「下郎め! どけ!」
「ひっ!」
郭太后めがけて振り下ろされた剣を、成済もまた剣で受け止めるが、ここで悲劇は起きる。
馬上での均衡を崩した曹髦は、まさかの落下先が成済の剣の上であった。
「きゃあああっ!」
「あ、あ、へ、陛下!」
「う、ぐぅっ、うぅ……」
細い身体を貫いた剣は彼の心臓を押し破り、一気に暗闇へといざなった。
成済は己の所業に恐れおののき震え、二度と正常に戻ることはなかった。
成済の三族は皇帝陛下弑逆の汚名を未来永劫語り継がれることを憂い、自害して果てる。
郭太后はこの日を境に呆けたようになり、亡くなるまでの三年間、曹叡と曹髦の冕冠(べんかん)についていた合わせて48本の宝玉のスダレを肌の上で愛でた。
「ああ、お二人の陛下に愛されているかのよう……」
冷たい玉はかさつき老いた肌をころころと所在なく転がった。