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ヒロイン三国ファンタジー
第24章 24 魏の末路
この皇帝の死は司馬昭に汚名を着せることになる。皇位を簒奪ではなく皇帝を弑逆したものとしてである。
「まさか、私の代でこのようなことになってしまうとは……」
先祖代々守ってきた司馬家の栄誉を、穢してしまうことになろうとは夢にも思っていなかったことだ。しかし頭を抱えている暇はない。
蜀の諸葛亮の意志を継ぐ姜維がまた北伐を始め、魏に攻め入ってきたのだ。そろそろこの蜀との戦いにも決着をつけねばならない。
三国鼎立したままでも良いかと考えていたが、姜維は魏を討たんと躍起になって攻めてくる。これ以上の戦は国力をそぐばかりである。国が疲弊すれば呉が漁夫の利とばかりに攻めてくるであろう。
せめて一族の汚名を雪ぐためにもと司馬昭は今回で蜀を平定したいと考えている。
第五代皇帝曹奐から勅令により、蜀を平定すべく鄧艾・鍾会・諸葛緒に大軍を率いさせ、蜀を攻め、そして蜀の皇帝、劉禅は大きな抵抗も見せることなく投降する。こうして司馬昭は蜀を滅ぼし魏のものとした。
蜀平定の功績をたたえられ司馬昭は晋王の地位を得る。やっと父や兄に近づけたであろうかと安堵すると身体に震えを感じ、やがて手足がしびれ始めた。口も痺れ、言葉が不自由になる前に息子の司馬炎を呼び心構えを話す。
「お、お、あ、炎、よ。わ、私のあと、を継ぎ、国を、陛下を、お支え、せよ」
「はいっ! 父上! お任せください!」
「うん、うん、炎は、良い、むす、子じゃ」
右手を左手でくるみ、拱手する立派な司馬炎に、満足な笑みを浮かべ司馬昭は生涯を閉じる。
「まさか、私の代でこのようなことになってしまうとは……」
先祖代々守ってきた司馬家の栄誉を、穢してしまうことになろうとは夢にも思っていなかったことだ。しかし頭を抱えている暇はない。
蜀の諸葛亮の意志を継ぐ姜維がまた北伐を始め、魏に攻め入ってきたのだ。そろそろこの蜀との戦いにも決着をつけねばならない。
三国鼎立したままでも良いかと考えていたが、姜維は魏を討たんと躍起になって攻めてくる。これ以上の戦は国力をそぐばかりである。国が疲弊すれば呉が漁夫の利とばかりに攻めてくるであろう。
せめて一族の汚名を雪ぐためにもと司馬昭は今回で蜀を平定したいと考えている。
第五代皇帝曹奐から勅令により、蜀を平定すべく鄧艾・鍾会・諸葛緒に大軍を率いさせ、蜀を攻め、そして蜀の皇帝、劉禅は大きな抵抗も見せることなく投降する。こうして司馬昭は蜀を滅ぼし魏のものとした。
蜀平定の功績をたたえられ司馬昭は晋王の地位を得る。やっと父や兄に近づけたであろうかと安堵すると身体に震えを感じ、やがて手足がしびれ始めた。口も痺れ、言葉が不自由になる前に息子の司馬炎を呼び心構えを話す。
「お、お、あ、炎、よ。わ、私のあと、を継ぎ、国を、陛下を、お支え、せよ」
「はいっ! 父上! お任せください!」
「うん、うん、炎は、良い、むす、子じゃ」
右手を左手でくるみ、拱手する立派な司馬炎に、満足な笑みを浮かべ司馬昭は生涯を閉じる。