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ヒロイン三国ファンタジー
第24章 24 魏の末路
鬱々とした曹奐は突然、雷にでも打たれたような突拍子でもないことをいい始める。
「朕を廃してくれ! 皇位を誰かに譲ろう。炎が良いと思うものをつかせるがよい」
「な、なりません! どうしてそのようなことを!」
「だめなのか。政は家臣たちが行うのであろう。誰でもよいではないか」
「陛下、どうか、どうかそのようなことをおっしゃらないでください。あなた様以外に皇帝となり得る方がいらっしゃらないのです。せめて御世継ぎをどうか早く」
「世継ぎか……。朕の子にもこのような思いをさせるのか……」
曹奐は聡明で繊細であるがゆえに、この飼い殺しのような皇帝の地位にしがみつくことはなかった。先代の曹髦のように享楽にふけることもなく野心家でもなく、また己を井の中の蛙と知っている。
父、司馬昭の目の高さにはやはり感心する。4代皇帝を曹髦ではなく、伯父の司馬師が推した曹據であればもっと良い治世であっただろうことが悔やまれてならない。
曹奐の暗い表情と生気が失われていく様を、司馬炎は黙って見続けるしかなかった。
「朕を廃してくれ! 皇位を誰かに譲ろう。炎が良いと思うものをつかせるがよい」
「な、なりません! どうしてそのようなことを!」
「だめなのか。政は家臣たちが行うのであろう。誰でもよいではないか」
「陛下、どうか、どうかそのようなことをおっしゃらないでください。あなた様以外に皇帝となり得る方がいらっしゃらないのです。せめて御世継ぎをどうか早く」
「世継ぎか……。朕の子にもこのような思いをさせるのか……」
曹奐は聡明で繊細であるがゆえに、この飼い殺しのような皇帝の地位にしがみつくことはなかった。先代の曹髦のように享楽にふけることもなく野心家でもなく、また己を井の中の蛙と知っている。
父、司馬昭の目の高さにはやはり感心する。4代皇帝を曹髦ではなく、伯父の司馬師が推した曹據であればもっと良い治世であっただろうことが悔やまれてならない。
曹奐の暗い表情と生気が失われていく様を、司馬炎は黙って見続けるしかなかった。