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ヒロイン三国ファンタジー
第25章 25 蜀の落日
司馬昭により派遣された鄧艾・鍾会・諸葛緒らはそれぞれ三面から蜀を攻める。諸葛亮の子、諸葛瞻が鄧艾に破れたことで劉禅は降伏する。
剣閣を守っていた姜維は劉禅の降伏を聞き、戦っていた鍾会に降伏した。こうして蜀は滅亡する。
姜維の北伐を幾度となく防いでいた鄧艾は、魏の忠臣で優れた武勇に知性と仁義を兼ね備えた好人物であった。
吃音のせいで彼はうまく知性を生かせず、出世は遅かったが司馬懿にその才を買われ、日の目を見ることになる。その恩を生涯忘れず鄧艾は魏に尽くしてきた。
劉禅の寵愛を受け、この蜀滅亡の片棒を担いだ宦官、黄皓の話を聞き、生かしては置けぬと黄皓を連行するように部下に伝える。
黄皓は鄧艾が己を殺すつもりであろうとよみ、慌てて財産をかき集め、鄧艾の使いである側近にそれらを贈る。
「どうでしょう。これで鄧将軍に取り成してもらえないでしょうか? 将軍は誤解しておられます。わたしのような老いた力のない宦官一人でどうしてこの国の行く末を傾けさせることができましょうか」
「んん? ふーむ。そうよなあ」
「なにとぞ良しなに」
「よしよし、今日のところはわしが将軍にうまく話をつけてやろう。しかし明日はそなたを将軍の前に連れて行かねばならぬぞ」
「ははー。御意にございます」
鄧艾の使いが帰ると黄皓は即座に着物を脱ぎ、粗末なものに着替え、残してあった宝玉を懐に詰め込み、急ぎ屋敷を出る。
剣閣を守っていた姜維は劉禅の降伏を聞き、戦っていた鍾会に降伏した。こうして蜀は滅亡する。
姜維の北伐を幾度となく防いでいた鄧艾は、魏の忠臣で優れた武勇に知性と仁義を兼ね備えた好人物であった。
吃音のせいで彼はうまく知性を生かせず、出世は遅かったが司馬懿にその才を買われ、日の目を見ることになる。その恩を生涯忘れず鄧艾は魏に尽くしてきた。
劉禅の寵愛を受け、この蜀滅亡の片棒を担いだ宦官、黄皓の話を聞き、生かしては置けぬと黄皓を連行するように部下に伝える。
黄皓は鄧艾が己を殺すつもりであろうとよみ、慌てて財産をかき集め、鄧艾の使いである側近にそれらを贈る。
「どうでしょう。これで鄧将軍に取り成してもらえないでしょうか? 将軍は誤解しておられます。わたしのような老いた力のない宦官一人でどうしてこの国の行く末を傾けさせることができましょうか」
「んん? ふーむ。そうよなあ」
「なにとぞ良しなに」
「よしよし、今日のところはわしが将軍にうまく話をつけてやろう。しかし明日はそなたを将軍の前に連れて行かねばならぬぞ」
「ははー。御意にございます」
鄧艾の使いが帰ると黄皓は即座に着物を脱ぎ、粗末なものに着替え、残してあった宝玉を懐に詰め込み、急ぎ屋敷を出る。