この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
兄妹の睦まじい姿を見て、陸抗は遠慮し、席を立つことにした。
「陛下。母上。私はこれにて失礼いたします。もう数日で駐屯地の柴桑に戻ります」
「なんと、もうもどるのか、幼節よ。どうか朕を許してほしい。讒言(ざんげん)を信じ、伯言を疑ったことを。本当に愚かであった」
孫権はハラハラと涙をこぼす。老いのせいか、彼は陸抗に会えばこのように涙を流し詫びるのである。
「いえ、陛下。もうそのことは……。これからも粉骨砕身お仕えいたします」
「ああ、ああ、幼節よ。ありがとうありがとう」
陸抗はもうこれで生きて会うのは最後かもしれぬと、孫権の表情をしかと胸に焼き付けた。
外に出ると諸葛恪がじっと空を見ている。
「私はこれで失礼致します」
「んん? ああ、そうか。幼節、柴桑を頼むよ。ところで姪はどうかね」
「はい。気が良くききますね」
陸抗の妻は張昭の息子であり、諸葛瑾の親友でもあった張承の娘であり、また諸葛恪の姪にあたる。
「そうであろう、そうであろう」
満足そうな諸葛恪を後にし、陸抗は秘かにため息をつく。
妻は長家と諸葛家の血筋を受け継ぎ、その知性はやはり高く、思ったことを先回りし、こちらが言わんとすることもさっと口に出す女人であった。
陸抗は物静かで、大人しく口数が少ないためか、妻はああでもないこうでもないと一日中使用人に指図している。
悪い妻ではないが、家柄を鼻にかけ、更には諸葛瑾よりも諸葛亮を尊敬している節がある。諸葛瑾を父に持つ諸葛恪にはとても言えぬ話である。
どこで聞きかじってきたのか、寝屋でも妻は養生のため横たわる陸抗の上にまたがり、一物にむしゃぶりつき、起立させ馬乗りになる。
跡継ぎを早々に産んだ妻には感謝するが、陸抗はどうしても心から彼女を愛することが出来なかった。
「陛下。母上。私はこれにて失礼いたします。もう数日で駐屯地の柴桑に戻ります」
「なんと、もうもどるのか、幼節よ。どうか朕を許してほしい。讒言(ざんげん)を信じ、伯言を疑ったことを。本当に愚かであった」
孫権はハラハラと涙をこぼす。老いのせいか、彼は陸抗に会えばこのように涙を流し詫びるのである。
「いえ、陛下。もうそのことは……。これからも粉骨砕身お仕えいたします」
「ああ、ああ、幼節よ。ありがとうありがとう」
陸抗はもうこれで生きて会うのは最後かもしれぬと、孫権の表情をしかと胸に焼き付けた。
外に出ると諸葛恪がじっと空を見ている。
「私はこれで失礼致します」
「んん? ああ、そうか。幼節、柴桑を頼むよ。ところで姪はどうかね」
「はい。気が良くききますね」
陸抗の妻は張昭の息子であり、諸葛瑾の親友でもあった張承の娘であり、また諸葛恪の姪にあたる。
「そうであろう、そうであろう」
満足そうな諸葛恪を後にし、陸抗は秘かにため息をつく。
妻は長家と諸葛家の血筋を受け継ぎ、その知性はやはり高く、思ったことを先回りし、こちらが言わんとすることもさっと口に出す女人であった。
陸抗は物静かで、大人しく口数が少ないためか、妻はああでもないこうでもないと一日中使用人に指図している。
悪い妻ではないが、家柄を鼻にかけ、更には諸葛瑾よりも諸葛亮を尊敬している節がある。諸葛瑾を父に持つ諸葛恪にはとても言えぬ話である。
どこで聞きかじってきたのか、寝屋でも妻は養生のため横たわる陸抗の上にまたがり、一物にむしゃぶりつき、起立させ馬乗りになる。
跡継ぎを早々に産んだ妻には感謝するが、陸抗はどうしても心から彼女を愛することが出来なかった。