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ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
「父上は幸せなお人であったことよ」

 亡き父と若き日の母の姿を偲ぶ。

 二人はよく剣を交えていた。勿論、父は手加減をしていたが、更に油断し、母に喉元をつかれたときであった。

「このまま刺殺されても文句は言わぬ。寧ろ殺される相手がそなたであれば、それより幸せなことはなかろう」

「ふんっ!」

 恥じらいつつ、母は剣を下げる。
 二人の睦まじい姿を見て育った陸抗は、それがそのまま理想の夫婦像となる。生真面目な陸抗は、妻とのすれ違いを感じながらも文句ひとつ言わず、妾も持たなかった。ただたまに父と母の剣を交えて睦み合う姿を思い返していた。
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