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ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
 孫権と尚香が二人きりになると孫権はさらに表情を和らげる。

「そなたは良い息子を持ったな」

「ええ。身勝手なわたしのではなく夫の血を良く受け継いでいます」

「そうか……」

 陸遜の事を思うたびに孫権は後悔の念に駆られているのであろう。劉備を失った時には尚香は激しい憤りを感じ喪失感を得た。そして陸遜を亡くした時には、まるで自分の半分を失くしたような気になった。
それでも陸遜の最後の『行く末を見てほしい』との言葉を彼自身のように胸に抱き、彼と共に生きているつもりである。

「そなたが妹ではなく、せめて姉ならば、孫策兄が死んだとき家督をそなたに譲れたのだがな」
「兄上、お戯れを」

「いやいや。本心だ。曹操とも劉備とも対等であったのはこの呉ではお前であった。そのことに気づくのが遅かった。諸葛亮はとっくに気づいていたようだが」
「孔明殿が?」

「ああ、そなたをここへ呼び戻したのは母上が嫁いだ先を攻めてはならぬとのお達し故、公瑾と相談して一計を案じて連れ戻したわけであるが」
「……」
 済んだこととはいえ、さすがに当時の状況を思うと劉備との仲を引き裂いた、周瑜と孫権に憤りを感じる。
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