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ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
「だから身分など気にしないと言っておるだろう」
李氏は委縮してしまい結局、話が進まぬところへ康僧会がやってき、助け舟を出す。
「まあまあ、お二人とも。尚香様。そのように問い詰めるような様子では」
「んん? そういうつもりではないのだが」
年老いてますます威圧的になる尚香自身、自分がどのような印象を与えているかまるで分っていなかった。身を小さくし震える李氏に康僧会は優しく慈愛を込めた言葉を掛ける。
「李さん、これは仏様のご縁です。幼節殿の元に参りなさい。あなたに字を贈りましょう。『律』と」
「うむ、よいな。律殿、改めて、息子の元へ嫁いでほしい。何も心配しなくてもよい。どうか息子を支えてやって欲しい」
頭を垂れる尚香に慌てて、李氏は「そのような、わたくしのために」とまたひれ伏す。
「では来てくれるかな?」
ようやく合点がいき、まるで夢を見ている心持で李氏は「はい。生涯お仕えいたします」と返事をする。
尚香と康僧会は喜び、まるで旧知の友と久しぶりに出会ったかのように、肩を叩き合った。
「まさしく、仏様のご縁であるな」
「ええ、ええ。ご身分ではなく、心からの結びつきに存じます」
三国の戦乱の中、ここに小さな暖かい灯を見出し、尚香は亡き陸遜に包まれた日々を思い出していた。
李氏は委縮してしまい結局、話が進まぬところへ康僧会がやってき、助け舟を出す。
「まあまあ、お二人とも。尚香様。そのように問い詰めるような様子では」
「んん? そういうつもりではないのだが」
年老いてますます威圧的になる尚香自身、自分がどのような印象を与えているかまるで分っていなかった。身を小さくし震える李氏に康僧会は優しく慈愛を込めた言葉を掛ける。
「李さん、これは仏様のご縁です。幼節殿の元に参りなさい。あなたに字を贈りましょう。『律』と」
「うむ、よいな。律殿、改めて、息子の元へ嫁いでほしい。何も心配しなくてもよい。どうか息子を支えてやって欲しい」
頭を垂れる尚香に慌てて、李氏は「そのような、わたくしのために」とまたひれ伏す。
「では来てくれるかな?」
ようやく合点がいき、まるで夢を見ている心持で李氏は「はい。生涯お仕えいたします」と返事をする。
尚香と康僧会は喜び、まるで旧知の友と久しぶりに出会ったかのように、肩を叩き合った。
「まさしく、仏様のご縁であるな」
「ええ、ええ。ご身分ではなく、心からの結びつきに存じます」
三国の戦乱の中、ここに小さな暖かい灯を見出し、尚香は亡き陸遜に包まれた日々を思い出していた。