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ヒロイン三国ファンタジー
第26章 26 呉の終焉
この振る舞いに、尚香は黙ってはいられなかった。
「陛下。どうして濮陽興と張布を廃したのですか」
「おばあ様。彼らの所業をご存じないのか。彼らはかつての呂壱や諸葛恪と同じです。佞言を吐き己が私腹を肥やしていました。このような者たちのせいで、政は乱れ、民は飢え、国が傾くのです」
「しかし、それならせめて官位を下げるかなどでよいであろう。重臣を廃していると魏を滅ぼした晋に付け狙われやすくなる」
「いいえ。害悪は、害虫は駆除すべきでしょう。このままにしておけば外敵よりも先に、中から食い破られます」
「……」
もう尚香の出る幕はなかった。
陸家の一族である陸凱が万イクと共に呉の丞相となり、孫晧に節度をもった正しい上奏をしうることが唯一の救いであった。
度重なる暴虐な振る舞いに、陸家の謙虚で潔癖な血を受け継ぐ陸凱ですら、孫晧を廃する計画を練る。しかし計画は遂行されることなく終わり、病床で孫晧に、陸抗は国の忠臣であると言葉を残しその生涯を終える。
孫晧は口うるさかった陸凱の家族を迫害しようとたくらむが、陸家と孫尚香の力を警戒していたので、実行されることはなかった。
そのかわり、少しでも孫晧を誹謗するものを抹殺する。
帝位につく前、烏程侯であった時代から親しかった万イクでさえ、彼を誹謗したということで毒殺されかけた。毒で死ぬことはなかった万イクであるが、己がもう抹殺の対象であるという事実に、恐れおののき自ら命を絶ってしまった。
「陛下。どうして濮陽興と張布を廃したのですか」
「おばあ様。彼らの所業をご存じないのか。彼らはかつての呂壱や諸葛恪と同じです。佞言を吐き己が私腹を肥やしていました。このような者たちのせいで、政は乱れ、民は飢え、国が傾くのです」
「しかし、それならせめて官位を下げるかなどでよいであろう。重臣を廃していると魏を滅ぼした晋に付け狙われやすくなる」
「いいえ。害悪は、害虫は駆除すべきでしょう。このままにしておけば外敵よりも先に、中から食い破られます」
「……」
もう尚香の出る幕はなかった。
陸家の一族である陸凱が万イクと共に呉の丞相となり、孫晧に節度をもった正しい上奏をしうることが唯一の救いであった。
度重なる暴虐な振る舞いに、陸家の謙虚で潔癖な血を受け継ぐ陸凱ですら、孫晧を廃する計画を練る。しかし計画は遂行されることなく終わり、病床で孫晧に、陸抗は国の忠臣であると言葉を残しその生涯を終える。
孫晧は口うるさかった陸凱の家族を迫害しようとたくらむが、陸家と孫尚香の力を警戒していたので、実行されることはなかった。
そのかわり、少しでも孫晧を誹謗するものを抹殺する。
帝位につく前、烏程侯であった時代から親しかった万イクでさえ、彼を誹謗したということで毒殺されかけた。毒で死ぬことはなかった万イクであるが、己がもう抹殺の対象であるという事実に、恐れおののき自ら命を絶ってしまった。