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ヒロイン三国ファンタジー
第27章 27 晋の統一後 エピローグ
洛陽に到着した孫晧は司馬炎と対峙するが、気後れすることはなく堂々と対等であると言う顔をして、ひれ伏すことなく突っ立っている。
家臣のものに促され、「ああ」と呟き、「乾いた平坦な声で「陛下万歳」と叫ぶ。
晋の重臣は誰もが孫晧を一目見たときから、生かしておけぬと感じる。
すでに亡くなった蜀の皇帝で安楽公に封じられた劉禅とは全く異質である。劉禅は清らかで善良で憎むことが出来ない人物であったため、魏、晋の重臣は世話を焼いたり、亡き劉備や諸葛亮の話を聞きに行ったりと交流がなされていたが、この孫晧に対してはまるでそのような交流したいという気を起こさせない。
まるで彼自身が刃物のような鋭さを持ち、そばに近づけば切り刻まれるような感覚すら覚える。
司馬炎に対して、忠臣は孫晧に気を付けるように進言するが、司馬炎は意に介さず、孫晧に興味を持つ。
「朕はそなたを待っておった」
そう告げる司馬炎に孫晧も何食わぬ顔で「私も南で待っていましたよ」という。
晋、呉の家臣たちはそのやり取りに息をのむ。
孫晧の物おじせず、明日その首が失言によって飛ぼうとも何ともないというふうで周囲のものをハラハラさせるが、司馬炎はその天真爛漫な彼に心惹かれていった。
孫晧は帰命侯に封じられ、この6歳年上の司馬炎に兄に甘えるようにすり寄る。二人は祖先の重荷と期待をその身に受け、共通点も多く分かり合えることも多かった。
明君と呼び名の高い司馬炎には後ろ暗い欲求があり、それを孫晧は見抜いていた。
「陛下は後宮に5千もの女人を集められているそうですね」
「え、い、いや。世継ぎは多くあらねばと思い……」
「ふーん。それだけいらしても満足できる女人がいらっしゃらないのでは?」
「そ、そのような……」
実際に司馬炎を満たす女人はおらず、若き日に覗き見た、清楚で淫らな母の幻影を追い求めていた。
「偶然ですが、私の後宮にも5千、おります。どうですか? 足してみませんか? 私がいなくて皆困っておるでしょうし、江南の女は良いですよ。情熱的で、正直で」
「そ、そうか」
こうして司馬炎の後宮には1万人の女人が入ることとなる。孫晧はすでに女人には興味がなくなっていた。
もっとも寵愛していた側室を失くしてから、すっかり欲望は抜け落ちている。
家臣のものに促され、「ああ」と呟き、「乾いた平坦な声で「陛下万歳」と叫ぶ。
晋の重臣は誰もが孫晧を一目見たときから、生かしておけぬと感じる。
すでに亡くなった蜀の皇帝で安楽公に封じられた劉禅とは全く異質である。劉禅は清らかで善良で憎むことが出来ない人物であったため、魏、晋の重臣は世話を焼いたり、亡き劉備や諸葛亮の話を聞きに行ったりと交流がなされていたが、この孫晧に対してはまるでそのような交流したいという気を起こさせない。
まるで彼自身が刃物のような鋭さを持ち、そばに近づけば切り刻まれるような感覚すら覚える。
司馬炎に対して、忠臣は孫晧に気を付けるように進言するが、司馬炎は意に介さず、孫晧に興味を持つ。
「朕はそなたを待っておった」
そう告げる司馬炎に孫晧も何食わぬ顔で「私も南で待っていましたよ」という。
晋、呉の家臣たちはそのやり取りに息をのむ。
孫晧の物おじせず、明日その首が失言によって飛ぼうとも何ともないというふうで周囲のものをハラハラさせるが、司馬炎はその天真爛漫な彼に心惹かれていった。
孫晧は帰命侯に封じられ、この6歳年上の司馬炎に兄に甘えるようにすり寄る。二人は祖先の重荷と期待をその身に受け、共通点も多く分かり合えることも多かった。
明君と呼び名の高い司馬炎には後ろ暗い欲求があり、それを孫晧は見抜いていた。
「陛下は後宮に5千もの女人を集められているそうですね」
「え、い、いや。世継ぎは多くあらねばと思い……」
「ふーん。それだけいらしても満足できる女人がいらっしゃらないのでは?」
「そ、そのような……」
実際に司馬炎を満たす女人はおらず、若き日に覗き見た、清楚で淫らな母の幻影を追い求めていた。
「偶然ですが、私の後宮にも5千、おります。どうですか? 足してみませんか? 私がいなくて皆困っておるでしょうし、江南の女は良いですよ。情熱的で、正直で」
「そ、そうか」
こうして司馬炎の後宮には1万人の女人が入ることとなる。孫晧はすでに女人には興味がなくなっていた。
もっとも寵愛していた側室を失くしてから、すっかり欲望は抜け落ちている。