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ヒロイン三国ファンタジー
第3章 3 徐州を巡って・1
しばらくは戦士たちの休息の日々が訪れたが、徐州牧の陶謙の部下が金品目当てで曹操の父親を殺害する事態によって状況は緊迫する。
「父上ぇえ! ああ! 何という事! ああっっ!!」
曹操の嘆き悲しむ大きな叫び声に許チョは目に涙を浮かべ彼女の悲しみを共有しようとしていた。そこへ軍師の荀彧が通りがかり苦笑しながら黙って通り過ぎた。
その晩、曹操の私室の呼ばれたのは荀彧であった。
軍師の身でありながら引きしまった逞しい細身の体の上で曹操は彼の胸を撫でながら尋ねる。
「私は大げさであったか?」
「いえ。皆、殿の嘆きに胸を打たれていたようです。特に許チョ殿は……」
「ふっ。まあ大半が同情しておればよい」
曹操が父親の死を理由に徐州を攻め落とし手に入れようとしていることは荀彧にはすぐにわかっていた。まるでこの時のためにわざと曹崇に豪華な装いをさせ陶謙のもとへ行かせたかのように。ちょうど黄巾党の残党を多く手に入れた後で戦には都合もよい。
「殿ほど、どんなことでも利用できる人はおりますまい」
「荀彧よ、それは褒めてるのか? それとも」
「勿論、感心しているのですよ」
「まあよい。お前がどう思っているのかは、交わればわかること」
「あの頃と殿は変わりませんなあ。いつまでも毅然として溶けぬ氷のようです」
「そんなに私は冷ややかであるか? あっ、あくぅくっ」
「うぅっ、ここ、は、熱くていつも飲みこんで溶かされるよう、ですが」
荀彧の剛直がすっかり曹操の中に納まると、騎乗位の彼女は緩やかに腰をひねり彼にいつものように問答をする。初めて二人が出会った時からこの問答が行われている。
「父上ぇえ! ああ! 何という事! ああっっ!!」
曹操の嘆き悲しむ大きな叫び声に許チョは目に涙を浮かべ彼女の悲しみを共有しようとしていた。そこへ軍師の荀彧が通りがかり苦笑しながら黙って通り過ぎた。
その晩、曹操の私室の呼ばれたのは荀彧であった。
軍師の身でありながら引きしまった逞しい細身の体の上で曹操は彼の胸を撫でながら尋ねる。
「私は大げさであったか?」
「いえ。皆、殿の嘆きに胸を打たれていたようです。特に許チョ殿は……」
「ふっ。まあ大半が同情しておればよい」
曹操が父親の死を理由に徐州を攻め落とし手に入れようとしていることは荀彧にはすぐにわかっていた。まるでこの時のためにわざと曹崇に豪華な装いをさせ陶謙のもとへ行かせたかのように。ちょうど黄巾党の残党を多く手に入れた後で戦には都合もよい。
「殿ほど、どんなことでも利用できる人はおりますまい」
「荀彧よ、それは褒めてるのか? それとも」
「勿論、感心しているのですよ」
「まあよい。お前がどう思っているのかは、交わればわかること」
「あの頃と殿は変わりませんなあ。いつまでも毅然として溶けぬ氷のようです」
「そんなに私は冷ややかであるか? あっ、あくぅくっ」
「うぅっ、ここ、は、熱くていつも飲みこんで溶かされるよう、ですが」
荀彧の剛直がすっかり曹操の中に納まると、騎乗位の彼女は緩やかに腰をひねり彼にいつものように問答をする。初めて二人が出会った時からこの問答が行われている。