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ヒロイン三国ファンタジー
第4章 4 徐州を巡って・2
目を閉じ静かに夜を感じているとかさっと茂みが鳴り、優しい月明かりに照らされた玄徳が姿を現す。まるで仙女のような美しさであるなと思い趙雲はため息をついた。
「玄徳様」
「趙雲殿……」

名前を呼び合っただけで特に会話を交わさず、玄徳は彼の隣に座り一緒に星空を眺める。温かい気持ちが二人の間に芽生え趙雲は安らぎを得る。

「玄徳様。ずっとずっと、お会いする前からお慕い申しておりました」
「ありがとう。私もあなたを恋しく思っていました」
「え? 今、なんて?」
「あ、つ、つい。聞き流してください」

「いえ、流せません。お願いです。もう一度! 私も、私も、あなたが男性だというのに女人に恋をするような気持ちなのです」
「ああ、趙雲よ。私はそなたに隠していることがある。その事が苦しめているのだな」

趙雲自身の想いの板挟みに玄徳は申し訳なさと同時に喜びを感じる。

「と、いうのは?」
「私は女なのだ」
「え? 何ですと? 女人ですと?」

こくりと頷き玄徳は趙雲の手を取り自分の胸元に置いた。彼のハッとする表情に己のふくらみを感じたのがわかるとさっと手を下げた。

「惑わせるつもりは毛頭なかった。許してほしい」
「ああ……。なんだかほっとしています。あなた様を責めるつもりなど勿論ござらん。どうしこのような気持ちが沸き上がるのか分からなかった。――そうか、それで張飛殿は……」

 張飛の優しさと連帯感を感じ趙雲は胸を熱くした。と、同時にもしやと思う疑問がわく。

「玄徳様は関羽殿と張飛殿とはどのような……。いや、申しますまい」
「趙雲殿。そなたの思う通りだ。我らは義兄弟であり契りを結ぶものだ。――願わくばそなたとも契りを結びたい」

 頬を染めて告白する玄徳に趙雲は一層の愛しさを募らせる。ただ次に告げられる言葉によって彼は抱きしめたい欲求をぐっとこらえる。

「しかし、そなたは公孫サンの武将。不義理を犯すわけにはいかぬ」
「玄徳殿」

 見つめあう二人にはそれ以上の説明はいらなかった。趙雲は微笑み返し頷く。

「戻りましょう。祝宴の席へ」
「ああ、趙雲、そなたが主役なのだぞ」

 玄徳は立ち上がりさっと趙雲の手を取り親しみを込めて屋敷に戻る。趙雲は握られる手が公孫サンと握り合う手と違い一本一本の指がしっかりと絡め合われているということに満足ししっかりとした足取りで歩んだ。
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