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ヒロイン三国ファンタジー
第5章 5 徐州を巡って・3
 廃墟となった洛陽に到着し、献帝は玉座であった場所に座り込む。
幼いながらも才覚がありしっかりしている彼でも、流石に空腹と疲労には勝てない。
一緒になって逃げてきた宦官たちは息も絶え絶えで呻き、疲労して痛む足を押さえたりさすったりして横たわっている。

「もうここには董卓もいないが漢王室の欠片も残っていないのだ」

 献帝は飲まず食わずで流れない涙を流していた。
すると黒い人だかりが見え、宦官たちは李カクが軍を率いて追ってきたのだと思い震え出す。献帝だけはしっかりと見据えどうなろうとも皇帝の威厳を崩さぬと姿勢を正した。

「陛下! ご無事でしょうか!」
「誰ぞ」

「曹操にございます」

曹操は献帝の前にひれ伏し、「陛下万歳、万々歳!」と深く礼をする。

「おもてをあげよ」
「ありがとうございます。陛下をお救いしたく馳せ参じました。おい! こちらへ持ってこい!」

 ふわっと旨そうな匂いが漂いざわめきが起きる。

「早くしろっ」

献帝の前に温かい肉汁が差し出される。

「おお! こ、これは!」
「どうぞ、火傷なさらぬようにお召し上がりください」
「ああ、これは、なんと美味いのだ!」
「たくさんありますので」

 曹操は宦官たちすべてに肉汁を配らせ、腹を満たさせ、身体を休ませ、人心地ついた頃に「ここはもう都としては復興できますまい。どうでしょう。まずは私の領地であります、豊かで安全な許に参りましょう」と反対の声をあげさせることが出来ぬように提案をする。

 軍勢とこの救出劇に献帝他重臣たちも反対することは出来ず、従うほかなかった。
早々に許へ献帝は連れ帰られ、曹操は彼の名のもとに思うがまま、詔を発布するのであった。
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