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ヒロイン三国ファンタジー
第7章 7 官渡の戦い前夜
曹操軍20万に対し、5万にも満たない玄徳は袁紹の援軍を要請するが叶わず、猛攻を受け逃げ落ちる。一人野山を彷徨い疲労のために、とうとう意識を失った。
身体がふわりと浮き上がる感覚に玄徳ははっと目を覚ます。
「玄徳様。よかった」
「あっ」
目の前に趙雲子龍の端正な顔があった。彼は倒れている玄徳を抱きかかえ、安全な場所へ運んでいるところであった。
「どうして……」
「兄が亡くなったので故郷に戻っていたのですが、帰ってきた時には公孫サン殿はもう亡くなっており、もう憚ることがないと思い急ぎ、あなたを探していたのです」
「そうか……。しかし私にはもう何もない。兵馬も、関羽も張飛も……。散れぢれになってしまった」
「ああ、我が君。わたしがいます。何もなくていい。あなたさえいれば」
「子龍……」
「傷の手当てをせねば」
趙雲はそっと寝かせた玄徳の鎧と衣服を脱がせ、傷を眺める。
白い細い肢体に細かな切り傷が無数についている。
「こんなに傷が……」
「皆に比べたら大した傷ではない」
関羽と張飛が命がけで守っているおかげで致命的な裂傷はないものの、最初から玄徳を恋い慕ってきた趙雲にとってはこの傷は痛ましいものである。
小さな傷一つ一つに趙雲は口づけ、動物のように舐める。
「んっ……」
「この傷を全部わたしに刻み付けてしまいたい」
ふっと優しく笑む玄徳にそっと子龍が口づけると彼女も応じる。
「関羽が、つぎに子龍と会った時遠慮をするなと申しておった」
「そ、それでは。い、いや。傷にさわってしまう」
「子龍。どうか抱いてほしい。あなたが現実のものか確かめさせてほしい」
「玄徳様……」
身体がふわりと浮き上がる感覚に玄徳ははっと目を覚ます。
「玄徳様。よかった」
「あっ」
目の前に趙雲子龍の端正な顔があった。彼は倒れている玄徳を抱きかかえ、安全な場所へ運んでいるところであった。
「どうして……」
「兄が亡くなったので故郷に戻っていたのですが、帰ってきた時には公孫サン殿はもう亡くなっており、もう憚ることがないと思い急ぎ、あなたを探していたのです」
「そうか……。しかし私にはもう何もない。兵馬も、関羽も張飛も……。散れぢれになってしまった」
「ああ、我が君。わたしがいます。何もなくていい。あなたさえいれば」
「子龍……」
「傷の手当てをせねば」
趙雲はそっと寝かせた玄徳の鎧と衣服を脱がせ、傷を眺める。
白い細い肢体に細かな切り傷が無数についている。
「こんなに傷が……」
「皆に比べたら大した傷ではない」
関羽と張飛が命がけで守っているおかげで致命的な裂傷はないものの、最初から玄徳を恋い慕ってきた趙雲にとってはこの傷は痛ましいものである。
小さな傷一つ一つに趙雲は口づけ、動物のように舐める。
「んっ……」
「この傷を全部わたしに刻み付けてしまいたい」
ふっと優しく笑む玄徳にそっと子龍が口づけると彼女も応じる。
「関羽が、つぎに子龍と会った時遠慮をするなと申しておった」
「そ、それでは。い、いや。傷にさわってしまう」
「子龍。どうか抱いてほしい。あなたが現実のものか確かめさせてほしい」
「玄徳様……」