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ヒロイン三国ファンタジー
第8章 8 三顧の礼
しかし徐庶は曹仁の『八門金鎖の陣』を破り、これから玄徳軍での活躍という時に程昱の策略により、曹操に奪われてしまう。
 落胆する玄徳は徐庶から勧められた伏龍と呼ばれる諸葛亮孔明を得るため、彼の草庵を訪れた。


「兄者、今度いなければもうよしましょう。縁がないのです」
「そうだそうだ。そんな身重な身体で無理をし過ぎなのだ」
「大丈夫だ。もうこの大きさであればよく動いた方が良いと医師も言っておった」

「本当ですかあ? 俺はもうじっとしてた方がいいと思いますぜ」
「いや、有名な華佗先生も身体を動かすことの有意義さを説いている」
「うーむ。まあでも疲れの出ぬうちに帰りましょう」

森の奥にすすみ、清らかな水を携えている井戸を見て、慎ましい草庵の前に立つ。ブツブツと文句を言う関羽と張飛は外で待たせ、今日こそは会いたいと玄徳は願い、声を掛ける。

「諸葛亮先生はおいででしょうか?」

耳をすませ、しばらく待っているとバタバタと足音が聞こえ中から一人の女人が出てきた。

「まあ、これはこれは劉備様でしょうか。主人は昨夜帰りまして眠っておりますの」
「そうですか」

黄氏と自己紹介する女人は諸葛亮の妻で異国のもののようだ。彼女の燃えるように赤い髪と滑らかな褐色の肌、そしてくっきりとした目鼻立ちは玄徳とまるで違う。

「待たせていただいてもよろしいでしょうか」
「ええ。どうぞこちらへ。そのお身体で大変なことですわね」

「いえ、もう不安な時期は過ぎました故」
「うふふ。そうですわね。産まれる寸前まで歩くといいですわ」

目をくっきりと見開き好意的な様子で黄氏は玄徳の大きな腹をそっと撫で「きっとお世継ぎですわ」と言う。

「は、はあ」
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