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ヒロイン三国ファンタジー
第10章 10 江東の女傑
その様子を義兄弟3人、関羽、張飛、趙雲はもとより、軍師、諸葛亮も心配せぬはずはなかった。

諸葛亮はこれからの外交に向けて強気であらねばならないこの時に、力を落とす玄徳をどうにかせねばと思案しているところに魯粛からの使者がやってくる。

 玄徳の夫人が亡くなったことを聞きつけて、孫権の妹である孫尚香との縁談の話を持ってきたのだった。
これについて諸葛亮は好機だと考える。孫権と親戚になれば曹操も攻めにくくなるであろうし、何よりも女人の援助が玄徳には必要であろうと思っていた。

しかし、夫人を失ったばかりの玄徳は頭を横に振るばかりである。

「殿、これは外交なのです。甘夫人をなくされてお辛い気持ちは分かりますが、孫劉連盟を生かす道でもあるのです」
「孔明。外交であることは、よい。承知した。しかし、知っての通り私は女人である。どだい無理な話であろう」

「それが都合の良いことに孫尚香様は男嫌いなのです。女人がお好みのようで自分を守らせる兵士も全て女人です」
「それがまたどうして……」

「曹操殿と違って玄徳様はお隠しになっていますが、ご存知の方はご存知のようですね」
「そうか……」

「さんざん嫁入りを渋っておられたようですが、玄徳様にはどうやらご好意を持っているらしいです」
「なるほど……。しかし親子ほど歳が違う。亡き孫堅殿と近い年回りであるに」

「とにかくお目にかかりたいと」
「わかった」

 気乗りせぬことではあるが玄徳にとってもう自分の身体も心も自分だけのものではなかった。こうして外交手段として孫尚香の待つ、江東を訪れることとなった。
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