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あなたの背中
第2章 2年前の6月
ピンポーン ♪
その時ちょうど、呼び鈴が鳴った。彼のテーブルだ。
店長がそのテーブルへと近づきオーダーを取る。
店長と女性は知り合いのようで、小話していた。
「 アメリカンとホットミルクとガトーショコラね。」
「 はい。」
店長はカウンターに戻ってくると私に伝票を差し出した。いつも通りオーダーを作り始める。
「 店長知り合いですか?」
「 ああ、常連さんだよ。確かハルちゃんと同じ学校の子。」
「 あの美人な女の人?」
「 そう、ハルちゃんの一つ上かな?」
「 そうなんだ………… 」
「 で、今日は彼氏付きだって。」
「 彼氏?」
その三文字に心臓がキリッと痛んだ。
何故かは、知ってる。先ほどまで暖かかった身体が一瞬で冷えた気がした。
「 そう。お似合いだよね。」
「 そ… うですね… 」
作業をしながらチラリと彼の方を見る。
確かにとてもお似合いだ。まさに目の保養カップル、なんて言葉が似合うくらいに。美人で少し気の強そうな彼女と、女の子のような可愛らしい顔つきなのに少年の様な表情を見せる彼。
そっか……いいな ……
少し羨ましく思いながらも、でも私とは住む世界が違う人間だと思える程だったので、それほど感情が冷めることも辛く思う事もなく、その時でさっぱり諦めようと思った。