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あなたの背中
第2章 2年前の6月
その日は、目の保養カップルを眺めながら1日が終わった。彼は完全に憧れの人になってしまった。
人生なんてそんなもんだ…
なんて思いながら店の締め作業をしていると、店の外でタバコを吸っていた店長が口を開いた。
「 今日は? 」
「 ……行きます。」
ニコリと微笑んで店長と顔を合わせる。
バイト終わりは決まってこう聞かれる。ご飯のお誘いだ。
店を閉めると大体23時位なのでいつも行くのはファミレスだけれど、店長は必ずご飯に行くと奢ってくれた。
「 毎度毎度、本当にいいんですか?」
「 いいのいいの。帰っても自炊しないから 」
「 彼女さん怒っちゃいますよ?」
「 いいのいいの。怒るような女性いないから 」
ふーん、と店長を横目に近場のファミレスへと歩き出す。私の生活範囲は徒歩15分圏内と家も学校もバイト先も近いので、徒歩生活をしていた。
いつものファミレスに入りいつもと同じものを注文する。
「 ハルちゃんいつも同じだね 」
「 ここのハンバーグ、おいしいんです 」
私は決まってデミグラスソースのハンバーグか、オムライスを注文していた。
「 じゃあ今度、もっと美味しいハンバーグの店連れてってあげるよ 」
「 本当ですか?!」
嬉しさのあまり満面の笑みを返す。
私の大好物はハンバーグだから。
「 じゃ今度の定休日は僕とドライブデートね 」
「 ……デデデート?!」
その単語に驚いて、テーブルを挟んだ正面に座っている店長の顔を見上げた。