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あなたの背中
第2章 2年前の6月
翌日、学校へ着いた私は梓から衝撃的な質問を投げかけられた。
「 春香!彼氏できたの?!」
「 え?何それどこ情報?」
自分も身に覚えのない話だったので、笑いながら梓に聞き返した。
彼氏なんてもう何年居ないことやら。
「 最近、深夜にファミレスでご飯食べてるって他の学科の子が言ってた!しかも超絶イケメン!」
「 超絶イケメン……?誰それ 」
身に覚えのない話過ぎて、自分でも混乱する。
夜のファミレスといえば、ここ最近喫茶店の店長としか行った記憶がない。
「 そう!身長高いイケメン!」
「 …あー。バイト先の店長かも 」
「 店長?」
梓は目を丸くしながら首を傾げた。さっきまでの食いつきが一気に冷めたようだった。
「 そ、締め作業やってからご飯食べに行くこと多くてさ 」
「 あ、そっかぁ。春香一人暮らしだもんね 」
そう、私は一人暮らし。
店長とご飯に行かない日は、一人で食べるか友達と食べるか。
私の周りに一人暮らしをしている子が少ないので、バイトのない日はほとんど一人で食事を済ませていた。
「 でもいいなぁ、凄いイケメンだって聞いたよ!」
「 んー… 確かにカッコいいけど。超がつく程なのかな?」
「 でもいいじゃん!イケメンと二人っきり!」
梓はなんだかワクワクしながら話す。
でも、決して私達はそんな関係ではない。ただの雇主と従業員。
思わず昨日の言葉を思い出して、再び胸がチクリとしてしまった。