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あなたの背中
第2章 2年前の6月
プルルルッ……
梓との雑談途中で私の携帯に電話が入った。見ると、憧れていた彼のいる学科の男友達からだった。
「 はい、もしもし 」
通話ボタンを押し電話に出ると、向こう側はガヤガヤと大変賑わっているようだった!
『 ウス!圭(ケイ)だけど!』
「 うい。名前見たからわかるよ 」
圭とは高校からの友達で、音楽の趣味が合うのでよくライブなんかに一緒に行く様な仲だった。
『 バンド組んだんだけどさ!』
「 そりゃまたいきなり… 」
圭の学科は確かに楽器好きそうな子たちが集まっている学科だったので、なんとなく想像はついた。
『 けどキーボードがいねーんだよ!』
「 ふぅん… 」
『 だからお前入って!』
「 ………は?」
唐突な投げかけに言葉のキャッチボールが私で途切れた。
バント…? いきなり過ぎだよ……
頭中で色々な妄想が始まる。圭は高校生の時もバンドを組んでいたのでなんとなく想像はついた。彼はきっとギターだろう。
『 って事でお前キーボード!どうよ?』
「 どうやって……いきなり過ぎでしょ…!」
『 でもお前できるじゃん 』
「 そ……そうだけど…… 」
楽器はピアノだけ3歳から習っていた私は、人前で弾ける程度の腕は確かにあった。それに高校の時に貯めたバイト代で、高価なキーボードを購入していたのだ。