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あなたの背中
第2章 2年前の6月
『 で?どう!××のコピーバンド!』
そこで出された名前は私の大好きなバンド名だった。断る理由が無くなってしまった。
「 ……わかった。やります 」
『 うおー!サンキュー!さすが三神!』
三神とは私の名字だ。ほとんどの人が私を名前で呼ぶ中、彼だけはずっと私の事を名字で呼んでいた。
『『 なになに?OK?OK?』』
電話越しに数名の男性が騒いでいる声が聞こえる。
「 ……それでメンバーは?」
『 それ!今から自己紹介しまーす ほら!』
そう言うと誰かに電話を手渡したようだった。
『 えー、初めましてリーダーの和泉(イズミ)です。ベース担当です。よろしく 』
最初に電話に出たのはリーダーという和泉君。電話越しでわかる程に落ち着いていた。彼は喋り終えると直ぐ変わってしまった。
『 はい、次俺、ギターボーカルの長谷(ハセ)!ユウヤって呼んでな!』
「 よ、よろしくお願いします。」
『 次俺?三神春香?三神春香? 』
長谷くんが喋り終えたかと思うと、電話から少し離れたところで私の名前を繰り返す声が聞こえた。
「 あのー、もしもし?」
私は不信気味に問いかける、と、すぐに返答が来た。
『 ウイーッス!久し振り!俺、ハルキ!』
その声と名前に心臓がドキリと跳ね上がった。
…… この声は
…… この名前は
………… 彼だ。