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あなたの背中
第3章 人との距離感
5人分の飲み物がきたところで乾杯をして、1人ずつ自己紹介をはじめた。リーダーは眼鏡の和泉。ヤンチャな金髪は裕也。高校からの友達でただのいい友達の圭。
そして… 私が憧れていた人…春樹。
「 春樹くんって、名前私と一字違いなんだね」
場が盛り上がっている中、正面に座っていた春樹くんに声をかける。彼の大きな瞳がこちらを向く。
「 へー…そっかー 」
「 っ……?」
私が話しかけると、彼はあまり興味の無さそうに返答し視線を逸らした。
… あれ?なんか、避けられてるのかな?
その冷たい態度に、キリリと心臓が痛む。
せっかくお近付きになれる機会かと思ったけれど。
少しだけ残念な気持ちになり、視線を下へ向けると春樹くんが再び口を開いた。
「 ていうかさー!昨日のあのテレビみた?!」
今度は全く違う話を、裕也と楽しそうに話し始める。
… なんだが私、場違いだったかな …
そんな不安がよぎる。
… 本当に仲良くなれるのかな …
チラリと圭の方を見ると、彼は携帯の画面に夢中になっていた。
彼は高校の時から自分のペースは崩さない。けれど私と波長が合うことが多くて遊ぶ機会もあったけど、呆れることも多かった。
その日は、うまく馴染めないまま連絡先を全員と交換し、解散した。