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あなたの背中
第3章 人との距離感
「 どう、おいしいでしょ?」
自慢げに店長は私の顔を覗き込んできた。
前菜から始まりスープ、サラダ、パン、ハンバーグ。私の大好きなデミグラスソースのハンバーグだった。
「 ん……っ、おいしいです…っ 」
肉汁がジュワッと溢れ、コクのあるデミグラスソースがたまらなく美味しかった。今まで食べたハンバーグの中で一番かもしれない、とも思ってしまう程。店長の顔を見上げると、満足そうな顔をしていた。
「 ハルちゃん、いつもいい食べっぷりしてくれるから本当おじさんも嬉しくて、ついつい餌付けしたくなっちゃうよね 」
「 なんですかそれー!フードファイターではないですよ!」
「 いやそんなこと言ってないでしょー 」
「 あ、でも店ちょ……っと、知哉さんはまだおじさんじゃないです 」
「 ふっ… まだ、ね?」
「 そうです!…まだお兄さんです 」
ふふっと笑いながら食事を続ける。店長とご飯に行くのはもう何度目だろうか。楽しく食事をしているときには、必ず店長が居た。
「 …そろそろかな 」
ちょうど二人が食事が終わった頃、店長は自分の腕時計を見てそう呟いた。
「 …そろそろって?」
「 いや、デザート。ね?」
すると、個室の扉がノックされ、店員さんが色鮮やかなフルーツが乗ったお皿をワンプレート持ってきた。
「 えっ……すごい…綺麗……!」
そこには、ガトーショコラとバニラアイス、たくさんのフルーツが散りばめられていた。粉糖で桜模様が描かれており、まるで芸術作品のように美しいプレートだった。