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あなたの背中
第2章 2年前の6月
私の学校は、教室から中庭が見えるようになっている校舎の造りで、昼休みになると中庭は学生で賑わう。
彼は決まって昼休みに中庭に出ているので、私はいつも窓際の席で紙パックのカフェオレを飲みながら彼の姿を追っていた。
ー…… そして、今日、まさに、今。
憧れの彼と目が合ってしまった 。
入学式から丁度2ヶ月目の今日
大きな彼の瞳が私へと確実に向けられていた。
……ドクンッ、と胸が高まり思わず視線を外し真逆方向へ顔を向ける。
いつも見てるの気づかれちゃったかな…?
心臓がバクバクと震える。
呼吸が止まってしまうかと思った。
紙パックのカフェオレをキュッと握り締めると、プシャッと音を立てて中のカフェオレが飛び出した。
「 うわぁっ! 」
思わず体からカフェオレを離すも、洋服にかかってしまった。
「 何してんの春香(ハルカ)〜っ!またボケーっとしてるからぁっ!」
「 あははっ…ゴメンゴメンッ 」
「 服汚れてるよ?ほらこれで拭いて!」
私の隣にいた梓(アズサ)が私にかかったカフェオレを拭いてくれる。正面に座っていた由紀(ユキ)はさすがの早さでツッコミをいれてくれた。
私はいつもこの2人と行動を共にしていた。というより2人が私のところにいつも来てくれる。
人付き合いというものが苦手な私は自分からあえて沢山友達作ろうだとか、まっさら思ってもいなかったので、その点二人が居てくれることに感謝している。
ある程度の友達関係をやりながら、一人の時間も沢山あるから。
チラリと再び中庭の方へ視線を移すと、彼の姿はなくなっていた。