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あなたの背中
第2章 2年前の6月
その日はもう一日中彼の瞳が脳裏に焼き付いて、彼のことばかり考えていた。
……… ー
「 ねぇっ。ねぇってば!」
「 うわっ!何っ?!」
講義はすっかり終わり、梓が私の肩を揺さぶっていた。
「 講義終わったよ?今日バイトでしょ? 」
バイト、の一言でハッとして我に帰る。
私は喫茶店のアルバイトを週4日でこなしていたので、ほぼ講義が終わるとバイト先に走る毎日だった。
「 やっば! … すっかり忘れてたよ 」
「 だーと思ったよ。だって春香上の空なんだもん 」
「 …へへっ、ごめんよ!行ってくる! 」
そう言い放って立ち上がり自分のバックパックを背負う。
我ながら自分はパワフルな女だと、思う。
多分周りもそう感じてる。(はず)
「 アズ、また明日!」
「 また明日〜!」
そう右手を振りながら教室を飛び出した。
私の生活の楽しみのひとつでもある、バイト先へと。