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あなたの背中
第2章 2年前の6月
チリンチリン … ♪
喫茶店の入り口のベルが鳴る。
「 いらっしゃいま …… 」
そう言いかけた瞬間、あの彼が入ってきた。
とても美人な女性とともに。
「 …あっ、いらっしゃいませ、お二人ですか? 」
「 あれ? 」
私の問いかけに口を開いたのは見慣れた彼だった。
目を大きく開いて口元は若干笑っていた。
「 お…お二人様ですか? 」
「 二人です。」
今度は美人の彼女が口を開く。
この組み合わせはとても美男美女だ、誰が見ても。
「 こちらのお席どうぞ。」
窓側の角の席に案内すると、彼は私のことをじっと見つめたまま席へ座った。
「 ハルキ、どうしたの? 」
彼女が彼に問いかける。表情は伺えないが、彼の顔を覗き込むように見ているように見えた。
その後ろからお冷やとおしぼりをテーブルへと乗せる。
… ハルキ君って言うんだ …
そんな事を考えながら席を離れた。彼は未だに瞳を大きくしたまま若干の笑みをこぼしている様に見えた。
カウンターに戻ると、いつも通り作業に戻る。
チラリと再び彼の方を見ると、彼の視線は彼女の方へと向けられ、いつの間にか和やかな雰囲気が漂っていた。