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オカシ屋サン
第6章 苺大福①


その太鼓橋にはひとりの女性が立っていた。


「おはようございます。気持ちの良い朝ですね」

「っ…?」


僕は彼女に近付いてすぐさま声をかけた。

欄干(ランカン)に手を付いて景色を眺めていた彼女は、そのぼんやりとした目をハッと見開いて僕へと向ける。


「秋になればこの橋も紅葉目当ての人間で埋め尽くされるらしいが、冬の、しかも早朝ともなると静かですね。特等席だ」

「…っ…え、ええ」

「樹木は全て丸裸で、殺風景だが」

「えーっと……。すみません、私、あなたとどこかでお会いしましたか……?」

「いいえ一度も。会話をしたのはいまこの瞬間が初めてです」

「…あ、そうですか」

急に現れた僕の馴れ馴れしさに驚いている。

気にしないで。僕のこの顔面を利用した馴れ馴れしさと図々しさと押しの強さには定評がありますから。

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