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オカシ屋サン
第6章 苺大福①

「これナンパですか?すごく斬新なやり方ですね」

「……」

「あなたふつうに格好いいんだし、ストレートに口説いたほうが勝率上がると思いますよ」

「光栄です」

「褒めてませんっ」

得体の知れない僕を、ナンパ目的の鬼絡み男と思ったようだ。

ありがちな勘違いではある。

けれどこれはナンパじゃない。

もしこれがナンパなら僕は彼女に金を払うか、いくらか貢いだ代償にその身体を堪能するだろうが──逆です。

僕は彼女からお金を頂く。

なぜなら "仕事" だから。

「ナンパ目的ではありませんよ。僕が貴女を誘っているのは、僕自身の欲求のためじゃない」

「なら…」

「──貴女のためです。貴女の悩みを解決して差し上げます」

「…っ…わたしの悩み?初対面のあなたにいったい何がわかるの」

「わかりますよ」

僕は手を伸ばす。

警戒して払いのけようとしてきた相手の手首を掴み取り、パーソナルスペースに引き込む。

驚いて踏ん張ろうとした彼女の下駄が、木板の橋の上でカツンと音を響かせた。

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