この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
オカシ屋サン
第6章 苺大福①
パーソナルスペースとはいつでもキスができる恋人同士の距離だ。
そこへ無理やり引き込まれた彼女。その口から不平が飛び出す前に頬に赤みがさしたのを、僕は見逃さない。
「な、なんなの……?」
「……フフ」
抵抗が遅れたのをいい事に、調子にのった逆の手を首元に添える。
浴衣の衿からのぞく項(ウナジ)を指の腹でなぞった。
「男の心無い言葉に傷付けられた……
不憫で虚弱な匂いがします」
「…ッ…」
「その傷……僕が癒やして差し上げたい」
視線を絡めた後──顔を近付ける。
キスはしません。
首筋に触れそうなところまで鼻を寄せて、スンと匂いを吸い込んだ。
「ひゃっ…//」
「僕に依頼してみませんか?」
「…!」
「仕事を与えてください。そうすれば、どんな悩みも願望も貴女の思いのままになる」
「……!?…離して!…き、気持ち悪い…っ」
彼女の体温が跳ね上がる。
ようやく僕を突き放した両腕だが、その力はあまりに弱い。