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オカシ屋サン
第6章 苺大福①

「……ええ、筒抜けです」

「……あの旅館であなたは何をしてたの?従業員?」

「僕はあそこのパティシエです。昨日の《柚子茶ゼリー》も僕ですよ」

「デザート……ああ、あれ、美味しかった。器も可愛かった……。あなただったのね」

僕の作ったデザート──。味はともかく見た目のこだわりにまで気が付くとは、センスの良い女性だ。

やはりますます、僕は貴女を気に入りましたよ。


「それでお返事は?仕事を与えてくださいますか?」

「……そうすれば満足するってこと?」

「はい、今日かぎり、二度と貴女に関わるつもりはありません。信じてください」

「…っ…この状況で」

僕に掴まれた腕を下ろして、彼女は抗議の目を鋭くする。

「この状況でっ……『信じて』なんて言われても少しも安心できません……!」

「……ふふ、そうでしょうね」

「…っ」

「返事は?」

「……」

抗議も反抗も、全てを抱擁する余裕でもって応えればいい。

逃がしはしない。

つけ入る隙を見破られた──貴女は僕に犯される。

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