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オカシ屋サン
第7章 苺大福②
「彼氏と喧嘩でもしましたか?」
「……それより、それが例のお菓子なの?あけて見せてくださいよ」
何気なくした質問は、見事にスルーされたが
よしとしよう。
僕は彼女と同じように座卓に向かって腰を下ろし、お菓子をいれた重箱を机上に置いた。
……ああ因みにそこの童貞くん。ここでひとつアドバイスですが、こういう時に女性の"向かい"に座っていては駄目ですからね?
必ず"隣り"に座るのです。覚えておくように。
「その前に貴女のお名前を教えてください」
「えっ…名前?」
「名前を教えて頂かないことには、せっかく用意したお菓子を渡せないのです。今さらですが」
「本当に今さらですね」
未だに警戒心剥き出しの彼女は、名前すら知らないのによくもまぁこれだけ図々しくできるのネ、と、呆れているのが明白な表情。
「苗字は……幸野(ユキノ)ですけど」
「下の名は?」
「…っ…個人情報です!」
「手強いですね」
「構わないでしょ?あなたも名乗ってください」
「僕は桐人(キリト)です。あ、これ下の名ですからね」
「桐人……」
彼女が僕の名を呟く間に、こちらは心の中に収めたノートに彼女の名を刻み付けた。いたって事務的に、ね。
ターゲット No.14
氏名:幸野(ユキノ)
年齢:26(推定)
身長:160
職業:不明
情報として多くないが、とくに支障はありません。