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オカシ屋サン
第7章 苺大福②


……わかりますか?

貴女を誘うこの色気が

貴女を犯すこの毒気が、今──貴女の心をわし掴みにして捕らえた


「……ッ」

「美味しそうに見えませんか」

「……、か……可愛い」


重箱の中心にころんと居座る、小ぶりで白く丸い大福。

ポピュラーな和菓子である苺大福には、その店伝統のレシピがあり見た目や材料も多種多様ですが

そんな中で僕の大福はと言うと、女性がひとくちで頬張れる小さめサイズです。

苺大福はバランスが命だ。

果実の酸味と餡の甘さ……それらを包む餅の厚みには細心の注意を払いますから、そのバランスを崩さないために必ずひとくちで食べさせます。


「可愛い……わね、この大福……」

「可愛いだけでなく絶品ですよ」

「……っ、ええ、美味しそう」

「であるならば、お代を──僕に」

「…っ」

「そうすれば差し上げます」


正球状の羽二重餅からはイチゴの赤い先端が僅かに顔を出して

いまだ迷いを捨てきれない彼女を──ある種の性的な魅力を感じさせつつ誘(イザナ)った。


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