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オカシ屋サン
第7章 苺大福②
湯舟の後ろに僕たちは身を潜ませた。
「急になんなんですか!本当に警察呼びますよ!?」
「貴女の彼氏が帰ってきたので隠れているだけです」
「わたしまで隠れなくていいしっ…不審者はあなただけですからね!それにこんなことしたってすぐにバレるんだから…!!」
身体を押さえ込まれている幸野さんが僕の下で喚き立てる。
本当に気付かれそうなので致し方ない。掌で口を塞いだ。
「…ぅ…グ」
「心配しなくてもバレませんよ。僕の靴も貴女の下駄も……靴箱に隠しておきましたから」
「…!!」
....
「はぁーあ、いなくなるとか何考えてんだよあの不感症女……。高い金払ってわざわざ連れて来てやったのに意味ねぇわー」
「…………」
「雰囲気だすための温泉だってのに、昨日もぜんぜん濡れねぇし。マジで無駄金」
簡単な小細工でまんまとダマされた馬鹿な彼氏が、少しの疑いもなく大口で悪態をついている。
それは窓を隔てたこちら側でも聞き取れる声で、僕に口を塞がれた幸野さんが怯えて肩を揺らした。