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オカシ屋サン
第2章 ホワイトチョコドーム①
「わたしの名前まで知っているなら法学科の先生ですよね。でもそうだとしたら…どうしてわたしは先生を見たことなかったのかしら…」
「あー……、うん、それはですね」
「──不思議です。桐人(キリト)先生の研究内容はどういったものですか? 何か講義を担当されていますか?」
「……」
急に質問攻め。意外と喋る子のようですね。
「もしかして助教授というのはここでの肩書きで、普段は自分の事務所でお仕事をしている弁護士さんとか──」
「──…」
「…………え? 先生…?」
「違いますよ」
止まらない口には
こうして蓋をしてあげましょう──。
僕は彼女の二の腕を掴んで引き寄せ、屈んで顔を近付けた。
「……ッ」
「今の僕が一番研究したいのは…──君のこと。他の何よりもまず君を深くまで知りたいです」
抵抗どころか瞬きのひとつもしないから、遠慮なく唇を奪う。
すると、五秒ほどの停止時間をはさんで佳代子さんはその場に座り込んだ。
おそらく腰砕けだろう。
そうなった彼女を横抱きにして立つと、周囲の学生たちから遠巻きに歓声が上がる。
これから僕に連れ去られる彼女に降りかかる未来が、どんなものであるか想像すらできずに──ね。